2019年11月の聖書の言葉
抜き、壊し、滅ぼし、破壊し
あるいは建て、植えるために。
(エレミヤ書1章10節)
神がエレミヤに与えた任務は、諸国民に対する預言者にな ることです。彼が預言者として召されたとき、ユダはアッ シリアの属国となっていました。ユダの存立とその運命と は、ユーフラテス及びナイル両河畔の大帝国の歴史と密接 に結びついていました。そして、必然的に、預言者のこと ばが諸国民の歩みとの関わりの中に組み込まれることにな りました。このような普遍的な任務が預言者に課せられた 理由は、全世界の主としての神が歴史を支配する主権者で あられる、という事実の中にあります。だからエレミヤは 、神の側に立って世界のすべての民族と対峙するものとな ります。しかし、彼は、その召しに素直に従ったわけであ りません。この神のことばは、彼には負いきれない重荷と してのしかかり、苦悩の呻きが胸を突き、神のこの委託か ら逃れたいというのが、エレミヤの最初の反応でありまし た。エレミヤに与えられた使命は、「抜き、壊し、滅ぼし 、破壊し、あるいは建て、植えるため」です。彼が取り次 ぐ神のことばは、災いと救いをもたらします。この句は、 エレミヤ書の主要テーマを語っています。それが、どのよ うになされるか24章において述べられています。まさに 、壊すことによって建て、滅亡の真っ直中で新たな生を創 造される神の恵みは、審判の中で働く神の摂理的・主権的 な秘儀として示されます。この深い神の秘儀を諸国民に伝 えるために、エレミヤは神の証人として選ばれたのです。 しかしその使命ゆえに、彼の苦悩が続きますが、その苦悩 を、神はまたご自身のこととして引き受けられます。壊し また建てるという苦悩の中から救う神を指し示すためにエ レミヤは預言者として立てられたのです。自らの苦悩を通 して、その弱さの中で、その弱さを担い救う神を指し示す 働きを担わされたのです。そして、神は、イエス・キリス トにおいて、わたしたちの弱さを担っていてくださってい ます。