2023年5月の聖書の言葉

イスラエルの牧者たちの権力の源泉が主なる神にあるとすれば、の偽りの支配を止めるのも神です。神は、歴史の現実に介入し、真の牧者としてのつとめをされます。歴史の主、世界を真に支配されている王なる主の慰めと慈しみに満ちた真の牧者としての意思がこの言葉の中に明らかにされています。

それは、「群衆が飼い主のない羊のように弱り果て、打ちひしがれているのを見て、深く憐れまれた」（マタイ９：３６）主イエスの言葉を彷彿させるような神の言葉です。悪しき牧者に養われる羊の群れは、自らの力でその悲惨な現実から脱出することはできません。ただ敵の餌食にされ、黙して、なされるがまま身を委ねるほかありません。

しかし、主なる神は、イスラエルをご自分の民として選ばれたお方です。主は大牧者として、ご自分の民が滅亡されることを望まれません。それは、偉大な羊飼いとして来られた主イエスの姿を予表するものであります（ヨハネ１０：１１）。神の歴史支配、救いの意思は、ご自身の大牧者としての正義と公平によって究極において実現されることを、これらの御言葉は明らかにしています。イスラエルの滅亡、民の離散の原因は、「イスラエルの牧者」とされた国の指導者の私腹を肥やす罪にありますが、その結果もたらされた選びの民の悲惨を、神はそのまま見捨てられません。歴史における神の介入をエゼキエル書１６節の言葉においてその意思を示されるこの神こそ、悲惨な民の現実を変える唯一の揺るぎない力です。わたしたちもまた、大牧者であられる神の支配と導きの中に入れられていることを覚える時、大きな安らぎと平安を与えられます。